毎日更新されるプロ野球のニュース。「〇〇選手が登録抹消」「全治〇ヶ月」……応援しているファンにとっては一番悲しいニュースですよね。
でも、「どこをどう痛めたのか」「復帰までどれくらいかかるのか」、ちゃんと理解してニュースを見ている人は意外と少ないのではないでしょうか。実はプロ野球選手のケガは、大きく分けて「筋肉」「骨」「靭帯」の3パターンでほぼ説明がつきます。

デッドボールで骨折ですとか聞くと眼の前が真っ暗に……。肉離れとか捻挫なら、ちょっと休めば治りそうなのに。

いやいや骨折よりも、靭帯のが厄介なんだよ。今日は基本の3パターンと、それぞれの『厄介度』を比較してみようか!
プロ野球のケガは「筋肉・骨・靭帯」の3パターンが多い
プロアスリートの身体は資本であり、発揮するパワーは一般人の非ではありません。そのため、日常生活の「ちょっと痛い」とは次元が違うダメージが身体を襲います。
まずは、最もニュースで耳にすることが多い「筋肉系」のトラブルから見ていきましょう。
【筋肉系】一番身近だが「クセ」になる(厄介度:★★☆☆☆)
代表例は「肉離れ(筋挫傷)」
筋肉系のケガの代表格といえば「肉離れ」です。五十嵐亮太投手いわく「ミートグッバイ」というやつですね。ニュースで「右太ももの軽い肉離れ」と聞くと、「ちょっとひどい筋肉痛くらいでしょ? プロなら根性で出ろよ」と思ってしまうファンもいるかもしれません。
しかし、それは大きな誤解です。人間の筋肉は「何万本もの輪ゴムの束」のような構造をしています。肉離れとは、ベースランニングの急激なダッシュやストップの衝撃に耐えきれず、限界まで引き伸ばされた輪ゴムの束がブチブチッと物理的にちぎれてしまった状態(筋挫傷)なのです。
厄介なポイント:再発率が異常に高い
筋肉は血液の流れが良いため、後述する「骨」や「靭帯」に比べれば修復が早く、数週間〜1ヶ月程度で日常生活レベルの痛みは消えます。
しかし、ここが最大の落とし穴です。新しく修復されたばかりの筋肉組織は、まだ柔軟性がなく硬い状態です。その状態でプロの「全力疾走」を行えば、高い確率で同じ場所が再びちぎれてしまいます(再発)。
「歩けるから野球ができる」わけではありません。「クセになる」のを防ぐため、慎重になる球団が多いです。(だいたい選手は前のめりになるので⋯)
【骨系】見た目は痛いが「くっつけば治る」(厄介度:★★★☆☆)
代表例は「デッドボールによる骨折」と「疲労骨折」
プロ野球における骨系のケガの多くは、デッドボールによる手首や指の骨折です。非常に痛々しいですが、スポーツ医学のデータによれば、手部の骨折をした選手の約81.6%が、平均58日(約2ヶ月弱)で実戦復帰を果たしており、長期的なパフォーマンスの低下も少ないとされています。つまり、骨さえしっかりくっつけば、元通りプレーできる可能性が高いのです。
ただし、骨系の中で「厄介度」が跳ね上がるのが「疲労骨折」です。外傷性の骨折(ぶつかって折れた場合)の復帰期間が平均47日程度なのに対し、スイングや投球の繰り返しで骨が悲鳴をあげる「肋骨などの疲労骨折」は、復帰まで平均98日(3ヶ月以上)もかかるとされています。
なぜ疲労骨折は長くかかるのか
骨自体が脆くなっているだとか、難治性の部位が多いなど様々な理由はありますが、一番の問題は根本原因の改善が必要だということです。
疲労骨折はダメージの蓄積による破綻ですから、根本的なそのダメージが蓄積する動作を改善しないと繰り返します。周辺筋力の補強なのか、動作の最適化なのか、外的環境なのか、はたまた他の部位(例えば関節)の故障なのかなど様々な要因を分析し、原因を排除するのに時間がかかるわけですね。

150キロの硬球が当たって骨折とか…そのまま選手生命が終わっちゃう気すらしますけどね⋯。

骨は『物理的にくっつけば元に戻る』から、3つの中で一番『復帰の見通し』が立ちやすいんだな実は
【靭帯・腱】一番ヤバい! 投手たちの絶望(厄介度:★★★★★)
代表例は「トミー・ジョン手術(肘の靭帯再建)」
プロ野球ファンにとって最も聞きたくない言葉、それが靭帯の損傷です。特に投手によく見られる「肘の側副靭帯(UCL)損傷」は、そのままではボールを強く投げることができなくなります。
これを治すための代表的な方法が、他の部位から正常な腱を移植する「トミー・ジョン手術」です。
靭帯系のケガが「厄介度MAX(星5つ)」である最大の理由は、圧倒的なリハビリ期間の長さです。メスを入れてから再びマウンドで全力投球できるようになるまで、およそ1年〜1年半という途方もない時間がかかります。「靭帯の手術をした」というニュースは、すなわち「今シーズン(場合によっては来シーズンも)の終了」を意味します。
靭帯の修復に時間がかかる理由
腱・靭帯の怪我で時間がかかる最大の理由は、血流が圧倒的に少ないからです。修復に必要な物は血液によって運ばれるので、そもそも血流がすくないと修復が進みません。
最近よく聞くPRP(多血小板血漿)療法というのは、血流が少ないなら無理やり必要な物をこっちから送り込んじゃえって治療なわけですね。
捻挫も実は靭帯の損傷です。
さて靭帯が一番厄介といっておきながら、実は身近な捻挫も靭帯損傷を伴う怪我だったりします。正確には関節をひねった怪我で骨折や脱臼を除いたものの総称で、足をグネったなんてスポーツ選手じゃなくてもよく聞く怪我ですが、捻挫を甘く見ちゃいけません。
程度によっては長期離脱というケースも起こり得ますし、痛みは引いたがその後関節の安定感が戻らず繰り返してしまうケースも多々あります。

トミージョンって聞けば僕だってやばいってわかりますよ。でも捻挫って聞くと明日から働けとか思っちゃいますけどね⋯。

鬼かお前は。
骨はくっつくし、筋肉は血流が良いから修復される。でも『靭帯』は、一度伸びきったり切れたりすると、基本的に自然治癒はすごい長い時間が必要なんだ。
まとめ:ケガの「種類」がわかると復帰時期が読める
プロ野球選手の離脱ニュースを見たとき、全治については触れていないことも多いです。そんなときこの記事でお伝えした「3つの分類」に当てはめてみてください。
- 筋肉系(肉離れなど): 数週間〜1ヶ月で治るが、「再発(クセになる)」が怖い。
- 骨系(骨折): 約2ヶ月で見通しが立つが、「疲労骨折」は長引く。
- 靭帯系(トミー・ジョンなど): とにかく時間がかかる。医療の進歩で手術・リハビリによって予後は良好なケースも多い。
この知識があるだけで、球団の発表やニュースの「行間」が読めるようになり、いつまでかかるの〜ともやもやすることも多少減るかもしれません。
当ブログでは、日々のニュースから12球団の離脱選手をまとめたデータ表を毎日更新しています。「あの選手、何のケガでいつから休んでるんだっけ?」と思ったら、ぜひ以下のページで確認してみてください。そして焦らず、彼らが万全の状態で戻ってくる日を一緒に待ちましょう!



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